消費者庁及び消費者委員会設置法

                                          (平成21年六月五日公布法律第四十八号)


                                                   
 

第一章

総則

(趣旨)
第一条 この法律は、消費者庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、消費者委員会の設置及び組織等を定めるものとする。

第二章
消費者庁の設置並びに任務及び所掌事務等

第一節消費者庁の設置

(設置)
第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、消費者庁を設置する。
2 消費者庁の長は、消費者庁長官(以下「長官」という。)とする。

第二節消費者庁の任務及び所掌事務等

(任務)
第三条 消費者庁は、消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を行うことを任務とする。

(所掌事務)
第四条 消費者庁は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務(第六条第二項に規定する事務を除く。)をつかさどる。
一消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二消費者の利益の擁護及び増進に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
三消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
四消費者安全法(平成二十一年法律第号)の規定による消費者安全の確保に関すること。
五宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の規定による宅地建物取引業者の相手方等(同法第三十五条第一項第十四号イに規定するものに限る。)の利益の保護に関すること。
六旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)の規定による旅行者の利益の保護に関すること。
七割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)の規定による購入者等(同法第一条第一項に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。
八消費生活用製品安全法(昭和四十八年法律第三十一号)第三章第二節の規定による重大製品事故に関する措置に関すること。
九特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)の規定による購入者等(同法第一条に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。
十貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)の規定による個人である資金需要者等(同法第二十四条の六の三第三項に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。
十一特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)の規定による預託者の利益の保護に関すること。
十二特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)の規定による特定電子メールの受信をする者の利益の保護に関すること。
十三食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第二十一条第一項に規定する基本的事項の策定並びに食品の安全性の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
十四不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第二条第三項又は第四項に規定する景品類又は表示(第六条第二項第一号ハにおいて「景品類等」という。)の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関すること。
十五食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十九条第一項(同法第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する表示についての基準に関すること。
十六食品衛生法第二十条(同法第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する虚偽の又は誇大な表示又は広告のされた同法第四条第一項、第二項、第四項若しくは第五項に規定する食品、添加物、器具若しくは容器包装又は同法第六十二条第一項に規定するおもちゃの取締りに関すること。
十七農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第十九条の十三第一項から第三項までに規定する基準に関すること。
十八家庭用品品質表示法(昭和三十七年法律第百四号)第三条第一項に規定する表示の標準となるべき事項に関すること。
十九住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第二条第三項に規定する日本住宅性能表示基準に関すること(個人である住宅購入者等(同条第四項に規定するものをいう。)の利益の保護に係るものに限る。)。
二十健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十六条第一項に規定する特別用途表示、同法第三十一条第一項に規定する栄養表示基準及び同法第三十二条の二第一項に規定する表示に関すること。
二十一物価に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二十二公益通報者(公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)第二条第二項に規定するものをいう。第六条第二項第一号ホにおいて同じ。)の保護に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二十三個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第七条第一項に規定する個人情報の保護に関する基本方針の策定及び推進に関すること。
二十四消費生活の動向に関する総合的な調査に関すること。
二十五所掌事務に係る国際協力に関すること。
二十六政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
二十七前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき消費者庁に属させられた事務

(資料の提出要求等)
第五条 長官は、消費者庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。

第三章消費者委員会

(設置)
第六条 内閣府に、消費者委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一次に掲げる重要事項に関し、自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に建議すること。
イ消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項
ロ消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要事項
ハ景品類等の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関する重要事項
ニ物価に関する基本的な政策に関する重要事項
ホ公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項
ヘ個人情報の適正な取扱いの確保に関する重要事項
ト消費生活の動向に関する総合的な調査に関する重要事項
二内閣総理大臣、関係各大臣又は長官の諮問に応じ、前号に規定する重要事項に関し、調査審議すること。
三消費者安全法第二十条の規定により、内閣総理大臣に対し、必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求めること。
四消費者基本法、消費者安全法(第二十条を除く。)、割賦販売法、特定商取引に関する法律、特定商品等の預託等取引契約に関する法律、食品安全基本法、不当景品類及び不当表示防止法、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、家庭用品品質表示法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)及び個人情報の保護に関する法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

(職権の行使)
第七条 委員会の委員は、独立してその職権を行う。

(資料の提出要求等)
第八条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

(組織)
第九条 委員会は、委員十人以内で組織する。
2 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

(委員等の任命)
第十条 委員及び臨時委員は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
2 専門委員は、当該専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

(委員の任期等)
第十一条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
5 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

(委員長)
第十二条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(事務局)

第十三条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

(政令への委任)
第十四条 第六条から前条までに定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

附則

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)
2 政府は、消費者委員会の委員について、この法律の施行後二年以内の常勤化を図ることを検討するものとする。
3 政府は、この法律、消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成二十一年法律第号)及び消費者安全法(以下「消費者庁関連三法」という。)の施行後三年以内に、消費者被害の発生又は拡大の状況、消費生活相談等に係る事務の遂行状況その他経済社会情勢等を勘案し、消費者の利益の擁護及び増進を図る観点から、消費者の利益の擁護及び増進に関する法律についての消費者庁の関与の在り方を見直すとともに、当該法律について消費者庁及び消費者委員会の所掌事務及び組織並びに独立行政法人国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
4 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、消費生活センター(消費者安全法第十条第三項に規定する消費生活センターをいう。)の法制上の位置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
5 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)による差止請求関係業務の遂行に必要な資金の確保その他の適格消費者団体に対する支援の在り方について見直しを行い、必要な措置を講ずるものとする。
6 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年を目途として、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

理由
消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を一体的に行わせるため、内閣府の外局として消費者庁を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。